Pitta(ヤイロチョウ)との初遭遇の記憶

 

今日は人生で初めてPitta(ヤイロチョウ)に出会ったときのお話です。なが~いので、ヒマな人は読んでみてください。

 

私は別にいわゆるPitta Chaser(世界中のヤイロチョウを追っかけてる人)ではありません。でも、Pittaは見られるならいくらでも見てみたいと思っています。なので海外遠征をするなら、まずはPittaがいるかが気になります。Pittaは東南アジアが生息の中心で、全部で30種以上。最近は種分化が進んでいるので、分類の仕方によっては数がもっと増えます。あまり、学術的なことはわからないので、私からはあまり説明できませんが。。。 東南アジア以外ではオーストラリアとインド、アフリカに数種いて、ヤイロ=八色の名に違わぬカラフルさ(なかには例外もいるけど)と尾の短い独特なフォルムから、世界中のバーダーが憧れる鳥です。

とはいえ、Pittaはとてもとても警戒心の強い鳥。簡単に撮影できると思ったら大間違いです。いかに優秀な現地ガイドとめぐり会えるかがカギですが、幸いにも私は(たぶん)日本人ナンバーワンPitta Chaserと知り合えたことで、現地ガイドの問題は全く抱えていません。先にこの道を切り開いた人がいることで、楽をさせてもらっています。これは本当に感謝すべきことです。

 

私のPittaとの初めての出会いはオーストラリア・ノーザンテリトリー準州のダーウィン近郊にあるEast Pointという海岸の森林でした。ちょうど乾季から雨季に入る端境期でしたが、日差しが強く、なおかつ年平均31度以上の高温多湿。もやもやと陽炎が立ち上り、日向には長時間いられない暑さのなか、凄腕同行者たちと森のなかのトレイルを歩きました。ここには〝世界で最も簡単なPitta〟と言われているらしいオーストラリア固有種・Rainbow Pitta(ムナグロヤイロチョウ)がいます。〝世界で最も簡単なPitta〟ということで、ガイドは雇いませんでした。完全なセルフバーディングです。トレイルの途中で出てくる鳥を撮影し、湯気が立ち上るツカツクリの巣を見ながら奥へ奥へと歩みを進めていきます。すると、森のどこからともなく鳴き声が聞こえてきました。ホーエッホエッ!(私の耳にはこう聞こえた(笑)) 初めて聞いたPittaの生声!(種にもよりますが、似ているものはかなり似ていて、Rainbow PittaはFairy Pitta=日本のヤイロチョウと似ています) 胸が高鳴りました。

しかし、フライトの都合もあって、探鳥を開始したのがお昼近く。。。 最悪の時間です。徐々に鳴く回数が減っていき、やがて全く声が聞こえなくなりましたが、凄腕同行者が気配を頼りに追い詰めていきます。ついにこの林の中にいる!というところまで追い詰めて、かんかん照りのなかPittaが林縁部に出てくるのをじっと待ちました。でも、なかなかその姿をこの眼に捉えることができません。途中、プレッシャーを和らげるために林から距離を置いたりしましたが、それでもダメ。。。 じっくりと林のなかを観察していると、ヤイロチョウらしき鳥が林のなかを飛びまわったり、ヤイロチョウ特有のホッピングをしている気配は感じます。すぐそこにPittaがいると知ってしまった以上、期待感は膨らむばかりです。

ところが、待っても待っても出てきてくれません。そうこうするうちにタイムリミットも近づいてきます。気持ちは焦るばかり。。。 このあとの日程でも出会えるチャンスはあると知っていましたが、確実に出会える保証はありません。できることなら、ここで撮影しておきたい! 一緒に行った同行者たちにもピリピリした空気が漂います。私が枝葉を踏みつけたパキッという音に凄腕同行者が敏感に反応し、冷たくこちらを見やります。警戒心の強いPittaを前にして絶対に犯してはいけないミスです。しまった、、、という想いで頭のなかがいっぱいになったのを鮮明に覚えています。

そんな張りつめた空気のなか、どれくらい待ったことでしょうか。息をするのにも気を使う緊張感のなか、誰かが口火を切るようにシャッターを切り始めました。ついにチャンスが来たという興奮から、大量の血液が心臓から全身に全速力で駆けめぐっていくのを感じます。それと同時に、必ず撮影してやるという気負いから、変に力んで体が硬直するような感覚にも襲われました。とにかく一刻も早くPittaを目視してシャッターを切りたい! その一心でシャッターを切る人のレンズが向く先を必死に双眼鏡で探します。こういうときに限って、なかなかターゲットが視野に入らないもの。。。 隣のシャッター音を聞きながら、どこだどこだ?と焦って林のなかを探していると、幾重もの枝葉を抜いた先の林床に、ついにPittaの姿をうっすらと確認することができました。「キター!!!」、心のなかで、こう叫んだのは言うまでもありません。でも、撮影するにはあまりにも厳しい障害物の先の先の先。。。 記録写真だけでもと必死にシャッターを切りますが、マニュアルフォーカスがまるでダメだめだった当時の私には全く歯が立ちませんでした。

とはいえ、まだPittaはすぐそこにいます。一度、ファインダーに入れた以上、絶対に見失うわけにはいきません。ひたすらPittaの動きに合わせてレンズを振りますが、シャッタースピードが上がらないので止まらないし、AFでピントを合わせるにはあまりにも障害物が多すぎます。この撮影方法では無理だ。。。 そう悟った私は、徐々にPittaの動きに慣れてきたこともあって、動きを予測して先回りした抜けるポイントに狙いを定める作戦に切り替えました。すると、そのポイントに向かって狙い通りにPittaがホッピングして近づいてきます。あと3m、2m、1m、よしっ、、、あれ??? なんと、狙いを定めたポイントの50cmほど手前でまさかのストップです。。。 何とか抜ける場所はないかと探しますが、どんなに私が横にズレようとも、絶対に抜くことができない枝葉が私とPittaとの間に絶望的な障害となって立ちはだかっていました。

Pittaがその場に留まっていたのは、恐らくわずか数秒。しかし、一刻も早く抜ける場所を見つけてシャッターを切りたいと気持ちをはやらせながら思考回路をフル回転させて試行錯誤していた私にとっては、その数秒が数十秒にも感じられました。数秒が経過してPittaがその場から去った瞬間、その不思議な感覚から現実に引き戻されたと同時に、ほんのわずかな物理的な〝ズレ〟によって絶好のチャンスもスルリと逃げていってしまったのでした。。。

その後も林床では、枝被りだろうが何だろうが、とにかくまともに撮影することができませんでした。そうこうするうちにPittaは木の高いところに上がってしまい、一応、慰み程度に多くの枝葉を抜く形で、ファインダーいっぱいの緑の前ボケに包まれた人生初の腹撃ちPittaを撮影したのでした(苦笑)

 

これが私とPittaの初めての出会いの記憶です。高い木に止まってからの話は端折っちゃいましたが、おおよそ待ち時間と〝林床での戦い〟が、話の大部分です。結局、このときは緑の前ボケに包まれた腹撃ちショットがベストショットという結果でした。その後、ダーウィンから南下したFog Damというポイントで完全な空振り、さらに何ちゃらという自然公園みたいなとこ(あとで確認します)でも首から上が倒木に隠れて半身しか見えない写真を撮影しただけでした。一方で、その自然公園みたいなとこでは私以外の同行者みんなが撮影に成功。。。 あまりにも悔しすぎる結果に、その後のノーザンテリトリーでの撮影では、ずっとRainbow Pittaが頭から離れなかったのは言うまでもありません。

しか~し、私はきっちりリベンジを果たしました! ノーザンテリトリーでの撮影の最終日、私の希望で再びEast Pointを訪れてもらい、早朝の2時間ほどでまずまずの写真を撮影できたのです。ホッ。。。 今になって思えば、〝世界で最も簡単なPitta〟というのはWatcherにとってで、Photographerにとってではなかったんじゃないかという疑惑が。。。(笑) まあ、恐らく時期的にあまりよくなかったんでしょうね~。

 

私のサイトを見て、簡単に海外の鳥を撮影していると思っている人は、目からウロコの話だったかもしれません。海外に行けば鳥を簡単に見られるというわけでもないんですよ。。。 しっかりした準備と情報が必要です。もちろん、水場や餌付け場でらくらく撮影ってこともありますけどね~。私にとってこのときのRainbow Pittaの撮影は、今までの海外遠征のなかでも上位に入る楽しい経験でした。それもこれも最終的に撮影できたからなんですけど。。。(苦笑)

ここまで書いておいてRainbow Pittaの写真は出さないのかよ!?と言われそうですが、さすがに長文になったので、次回、Rainbow Pittaを写真で紹介したいと思います(笑)

 

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